【名曲探訪】SORRY LOVE
いっそこのまま この夜に心を置いていこう
SORRY LOVE/GLAY
2007年10月発売、37枚目シングル収録。
高校生の初恋のような可愛らしい歌詞と、サビを食うかのような最高のBメロが美しいバラードナンバー。
GLAYってたまにBメロが最高過ぎる曲書くよね…
寂しい帰り道を照らす街頭のような、シンプルなギターリフのイントロに導かれて、途方に暮れる心情をつむぐAメロ。
雪まで降ってきて、心細さも増してくる。
初冬の街の、鈍色の雲からちぎれる雪と、二人の間にある重い沈黙。
そして主人公は振り返る。
独りよがりの恋でした、と。
愛だったら君の事をもっと考えられたのかもしれない。
でも、これは恋でしかなかった。自分に都合のいい願いでしかなかった。
話は少しそれるけど、吉井和哉の曲に『恋の花』がある。
ライブでしか歌われない原曲バージョンの歌詞が、恋と愛について似たことを言っている。
“枯れてほしい 恋の花/死んでほしい 恋心”
“恋の花ない場所は/愛に溢れたとこだろう”
自分がこうしたい、ああしたいで一杯なうちは恋でしかなく、
相手が見えていないから時には傷つけてしまう。
それならいっそ友達のまま密かに恋焦がれていた方がどれだけマシだったか。
そんな主人公が、初めて相手のためを想う2番の歌詞。
“君が望むこれからに リボンをかけて ギュッと抱えて 雪積もる道駆けて届けたい”
“君が望むこれから”に僕がいなくても、君が幸せになってくれれば。
なんて可愛らしい、でも素敵な想いだろう。
でもそんな想いも空しく、二人はここから別の道。
ここからはただ、それぞれの季節が巡っていく。それだけのこと。
ならば、その想いだけでもここへ置いていこう―。
独りになって少し冷静になった主人公の切なさを鳴らすアウトロで曲が終わる。
その余韻に、雪道のしんと積もる静寂の音がする、、、ような気がする。
どこか心もとない冬の夜のお伴に、この名曲を。