【名曲探訪】静かの海で
青く浮かび上がる君のいる場所
あまりにもきれいで言葉にならない
静かの海で/L'Arc-en-Ciel
※非公式の映像だけど、あまりにクオリティが高いのでお気に入りです。
1995年発売、3枚目のアルバム『heavenly』に収録された一曲。
後半のコーラスフレーズである“feel heavenly”がアルバムタイトルに冠されている。
98年の復活以降は一度も演奏されてこなかった曲だったが、
先日東京ドームで行われた“LIVE 2018 L'ArChristmas”にて実に22年ぶりに演奏されて、誰もが驚いた。
僕はラルクで一番この曲が好きで、けれど原案が脱退したメンバーでもあるため
金輪際ライブでは聞けないのだろうと諦めていた。
だから、あの東京ドームで宇宙の映像が流れ、アポロの無線音声が聞こえ、
hydeが“一人残されて”と歌い始めた瞬間は混乱と同時に涙が流れた。
こんな奇跡が起こるのか、と。
あの感動は一生忘れることはないだろうと思う。
なので、その感動が覚めないうちに、いかにこの曲が素晴らしいか語り散らしてしまおうと思う。
タイトルにある静かの海とは、月の平原の名前のひとつ。
そう、海の歌ではなく月についての歌。
冒頭の“一人残されて 静かの海にいる”というフレーズは一聴すると恋唄のようにも聞こえるが、これが実は月に残された宇宙探査機目線という前代未聞の歌詞。
この時点でこの曲の特異性がずば抜けているのだが、(いい意味で)ぶっ飛んでるのは歌詞だけではない。
アカペラの出だしから、ディレイをかけて浮遊感たっぷりのギター。
2番メロを経て、サビへ向かうのかと思えば唐突にシンセの音が新しい地平を拓き、続く銅鑼の音、ギターのスクラッチノイズ。
そして訪れる荘厳な“feel heavenly”のコーラスと、俺が主役だと言わんばかりに鳴り響くギターソロ。
そしてコーラスとギターの隙間から聞こえる歌詞は、地球という生命の美しさと
二度と地球に帰れない寂しさが交錯して、儚くも美しい。
こんなにスケールのデカい曲がデビュー2年目のバンドの曲だなんて、誰が信じられようか。
初期ラルクの耽美的世界観は、ここに極まったと言っても間違っていないと思う。
ちなみにどうでもいい話だが、この曲に浸りたい方はぜひ夜、
できれば誰もいない海や明りが少ない、星空を見渡せる場所で聞いてほしい。
後半のコーラスに脳が惚けていく感覚がとても気持ちいいはずだ。
ラルクリが早々に映像作品として発売されますように。